
1. エレクトーンとは?(仕組みの基礎)
- 3つの鍵盤系:
- 上鍵盤(U.KBD):メロディ/ソロ
- 下鍵盤(L.KBD):コード/アルペジオ/パッド/コンピング
- 足鍵盤(PEDAL):ベースライン
- エクスプレッションペダル:足先で音量・強弱やオートパンをコントロール
- レジスト:音色(Voice)、リズム(Style)、エフェクト(Reverb/Chorus/Drive など)をワンタッチ呼び出しできる登録機能
1台で鍵盤+ドラム+ベース+エフェクトを同時進行する“ライブ用音源+鍵盤”と考えると理解しやすい。
2. 役割分担でわかる演奏法
- 上鍵盤:メロディ、リード(Sax/Strings/Lead Synth など)
- 下鍵盤:コード分散・カッティング、パッド、伴奏シンセ、オルガンのコード
- 足鍵盤:ルート→ウォーキング→フィルの順で発展
- ペダル:イントロ/サビでダイナミクスを作る(踏み込み=盛り上げ)
3. スタイル別レジストの基本レシピ
A) ポップス(8Beat)
- 上:Synth Lead or Bright Sax(少しコーラス)
- 下:Warm Pad+E.Pianoを薄く重ね、4分のストローク
- 足:Electric Bass(ルート→オクターブ)
- リズム:8Beat Standard、テンポは原曲−10から
B) ジャズ(Swing)
- 上:Jazz Guitar or Muted Trumpet(軽めのリバーブ)
- 下:Comping Pianoで裏拍を意識
- 足:Acoustic Bassでウォーキング
- リズム:Swing Kit、ブラシ系も◎
C) EDM/シネマティック
- 上:Pluck/Lead(ディレイ短め)
- 下:Wide Pad+Arp(小さめ音量)
- 足:Synth Bass(8分刻み or 1→5跳躍)
- リズム:4 on the floor、ブレイクにフィルを登録
レジストは1曲=8〜10個のスナップを段階的に並べる(Intro→A→B→サビ→ブリッジ→ラスサビ…)。足で踏み替えられる位置に。
4. 練習メニュー(毎日20–30分の型)
- 右手のみ(5分):メロディを半分テンポで。ビブラートやスラーを後回し
- 左手のみ(5分):コード分散+リズムの型(ポップスなら表4分+裏でゴースト)
- 足のみ(5分):ルート→ルート+5度→ウォーキング(1235型)
- 手+足(5分):右+足 → 左+足 → 右+左 → 最後に全部
- レジスト合わせ(5分):各セクションの切り替え位置を体に覚えさせる
- 余力があれば**録音→聴き直し(2分)**でタメ・走りを確認
5. 左手が忙しい!を解決する3テク
- 省略のルール:メロ上行中は左の分散を2音に減らす/サビ頭は足をルート長めに
- “点→面”の発想:左手は最初の拍で情報を渡す(和音を薄く、残りはパッド)
- リズムの抜き差し:フィル直前は左手を休ませ、切替に集中
6. よく使うコード進行と足型
- I–V–vi–IV(王道進行):足=1→5→6→4、下=分散かブロック
- ii–V–I(ジャズ):足=2→5→1(半音アプローチ可)
- IV–V–iii–vi(切な系):足=4→5→3→6、上はストリングスで歌う
7. 音色整理のコツ(混雑しないミックス)
- 帯域の住み分け:上は2–5kHz、下は200–1kHz、足は**<120Hz**を意識
- リバーブは1系統:上だけ深く、下は薄く、足はほぼドライ
- ベロシティ代わりにエクスプレッションで抑揚を
8. 初心者の機材・アクセサリ選び(ざっくり)
- イス:高さ調整できるもの(肘が鍵盤と水平目安)
- ヘッドホン:長時間でも疲れにくい開放型 or 軽量密閉
- USBメモリ/録音:レジスト保存&セルフチェック用
- メトロノーム:内蔵で足りなければ外部も
機種や型番は世代で変わるので、**“上/下/足のフル鍵盤+十分なレジスト数”**を軸に選ぶと失敗が少ない。
9. はじめてのレジスト作成チェックリスト
- テンポ/拍子/カウントイン設定
- 上・下・足の音量バランス(足は見失いがちなので+2dB)
- リズムのフィル位置とEndingの長さ
- サビ用に音色の明るさを1段階アップ(フィルター/アタック)
- **保存→名前(曲名_テンポ_日付)**で管理
10. レッスンでつまずきやすい所と対処
- 右手が走る:メトロノームで裏拍手拍。ペダル踏み込みは小さく頻繁に
- 足が遅れる:足→右→左の順で入る“プリカウント習慣”を
- 切替ミス:小節の1拍前でスイッチ。歌いながら足だけ踏む練習を別枠で
11. レパートリー拡張のロードマップ(4週間)
- 週1:新曲の2セクション(A/サビ)を半分テンポで組む
- 週2:足のルート+5度まで拡張、レジスト4→6個へ
- 週3:フィル/ブレイクの見せ場を1回追加
- 週4:原曲−10bpmで通し→録音→微修正
まとめ
エレクトーンは1人バンド。上=歌、下=バッキング、足=ベースを役割分担し、レジストで展開をデザインすれば、どんな曲も“自分のアレンジ”で映えます。片手→両手→足→合体の順と半分テンポ――この2つを守れば、必ず弾けるようになる!


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