
1. ワセリンとは?何に効く?
- 石油由来の高精製炭化水素で、肌表面に透湿性の膜を作り水分蒸散(TEWL)を抑制。
- 期待できること:粉ふき/つっぱりの低減、バリア回復のサポート、擦れ対策、リップや手指のひび割れ保護。
- 加える保湿(ヒューメクタント)ではなく“守る保湿”。ヒアルロン酸・グリセリン・セラミド等の上に重ねて真価を発揮。
2. 種類・精製度と日本の呼び名
- 黄色ワセリン:精製度が低く不純物を含みやすい(一般的に肌用は非推奨)。
- 白色ワセリン:不純物を除いた精製品。顔や敏感肌はこれ。
- プロペト(白色ワセリンの中でも高精製・医薬品グレード)
- ヴァセリン:一般的なブランド名。製品ごとに精製度・添加物が異なるため成分表示を確認。
3. 使い方(順番・量・頻度)
- 順番:洗顔 → 化粧水/美容液(ヒアルロン酸・グリセリン等) → 乳液/クリーム(セラミド等) → ワセリン(ごく薄く) → 日焼け止めはワセリンの後ではなく前に(朝はSPF→ワセリンごく薄か、SPFで仕上げでもOK)
- 量:米粒〜小豆大を手のひらで溶かし、両頬・額・口元に点置き→押さえ伸ばし
- 頻度:毎日OK。夜は厚め、朝は極薄が基本。
- スポット使い:リップ、口角、鼻翼、手指、かかと、擦れやすい部位の保護に。
“スラッギング(顔全体に厚塗りして寝る)”は乾燥のピーク時だけに留め、翌朝の洗浄をやさしく。
4. 相性(併用のコツ)
- 相性◎(下地に置く):ヒアルロン酸/グリセリン/セラミド/パンテノール/CICA/ナイアシンアミド/ペプチド/トラネキサム酸
- 攻め成分の“サンドイッチ”:
- 例)クリーム少量 → レチノール薄塗り → ワセリンごく薄(刺激緩和)
- AHA/BHAの日も仕上げに薄膜で違和感を軽減
- メイク前:Tゾーンは極薄 or 省略。頬・口元中心に点置きが崩れにくい。
- 日焼け止め:SPFの上に厚塗りは崩れやすいため、夜メインが快適。
5. 肌悩み別ミニルーティン
超乾燥・粉ふき
- 夜:化粧水 → ヒアルロン酸 → セラミドクリーム → ワセリン薄膜
- 朝:化粧水 → 乳液 → SPF(ワセリンは口元など局所だけ)
敏感期・赤み・摩擦
- 夜:CICA or パンテノール → セラミド → ワセリン
- マスク/マフラーの擦れ箇所に外出前点置きで予防
唇・手指・かかと
- 唇:就寝前厚め。日中は極薄+色物前の下地にも
- 手指:ハンドクリーム → ワセリンで封じる
- かかと:入浴後、ワセリン厚め → コットン靴下で15–30分
6. よくある質問(サクッと)
Q. 毛穴が詰まる?
A. Petrolatum自体のコメドジェニック指標は低めとされますが、厚塗り・汚れ残りで詰まり感が出ることあり。少量・丁寧なクレンジングがコツ。
Q. 傷や湿疹に塗っていい?
A. 浅い擦り傷後の保護に使われることはありますが、感染や湿疹悪化が疑われる場合は医師へ。出血・化膿部位は自己判断で塗らない。
Q. 代わりに日焼け止めになる?
A. なりません。ワセリンはSPF/PA効果なし。必ず日焼け止めを別で。
Q. 服や寝具は?
A. 油分移り・可燃性に注意。衣類/寝具に多量付着後は火気厳禁、洗濯でリフレッシュ。
7. 使用量・仕上がりを軽くするテク
- 手のひらで温めてから“ベール一枚”の薄さで
- 頬はやや多め、Tゾーンは極薄
- 朝は乳液で完結し、ワセリンは口元・目周りだけに
8. 購入時チェックリスト
- 表示:白色ワセリン/Petrolatum(医薬品グレード/USP等)
- 無香料・無着色、添加物が少ないもの
- チューブ容器(指突っ込み式より清潔)
- 家族共用なら小分けして使うと衛生的
9. うまくいかない時の見直し
- べたつく/化粧がよれる:夜だけ厚め・朝は局所のみ極薄に/量を半分
- 詰まり感:クレンジングをやさしく見直し/塗布量ダウン/Tゾーンはオフ
- 乾く:ワセリン前に水分+セラミドをしっかり/ミスト→乳液→ワセリンの順で“層”を作る
まとめ
ワセリンは**“守り切る最後の一枚”**。水分&セラミドの上にごく薄く重ねるだけで、粉ふき・つっぱり・擦れの不快感が大きく軽減します。白色ワセリン(高精製)を少量――これが失敗しないコツ。

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