
1. J-POPとは?(定義と全体像)
- “J-POP”は日本で作られた大衆向けポップスの総称。歌謡曲の文脈を継ぎつつ、ロック、R&B、ヒップホップ、EDM、アニソンなどを折衷してきた。
- 産業面の特徴:タイアップ文化(ドラマ/アニメ/CM/映画との連動)、フィジカルとライブの強さ、オーディション/アイドル育成、そして配信・SNSでの拡散。
2. クイック年表(超ざっくり)
- 60–70s:歌謡曲/フォーク… 和旋律×欧米ポップのミックス。
- 70後半–80s:シティポップ… AOR/ディスコ/ファンク影響。都市の夜とドライブ感。
- 90s:J-POP時代の到来… メガヒット連発、バンド/ソロ/ダンスが同居。
- 00s:R&B/ダンス/テクノの浸透… クラブカルチャー色、ボーカル・エディットも。
- 10s:ネット発/アニソン再評価… ボカロP、配信世代、劇伴的サウンドが躍進。
- 20s:配信主流・越境… SNS起点のヒット、海外でのシティポップ再発見やJ-POPの国際化。
3. サウンドの“型”(リズム/コード/メロ/歌詞)
リズム
- 8ビート(王道)、16ビート(キラッと細かく刻む)、シャッフル(スウィング感)。
- 近年はトラップ的ハイハットや4つ打ちも定番。
コード進行(よく出る)
- I–V–vi–IV(王道)
- vi–IV–I–V(切な系)
- IV–V–iii–vi(ドラマチック)
- ラスサビ前で半音/全音アップの転調はJ-POPらしさの代表ギミック。
メロディ
- 跳躍と順次を混ぜ、サビで最高音。平歌は語感重視で音域を抑える。
- 借用和音(♭VII, ♭VI など)やメロの裏拍置きで“泣き”と推進力。
歌詞
- 季節語(春・夏・花火・月・線香花火…)、情景描写→心情の順。
- 比喩・擬人化が多く、余白(言い切らない)で“読後感”を残す。
4. サブジャンル早見表
- シティポップ:AOR/ファンク系。エレピ、コーラス、シャッフル。
- バンドJ-POP:ギター/ピアノ主体。王道進行×オルタ寄りエッジ。
- R&B/ダンス:裏ノリ、シンセベース、4つ打ちや2ステップ。
- アニソン:物語展開、転調、スケール感。ストリングス&同期も多い。
- ボカロ/ネット発:速い言葉回し、変拍子・複合コード、音響ギミック。
- アイドル:多声ユニゾン/ハモ、コール&レスポンス、振付との一体。
5. 必聴リスト(入口用の“最低限”)
(年代横断で雰囲気を掴むための例。配信やサブスクで探してみてね)
- シティポップ:山下達郎『FOR YOU』/竹内まりや「Plastic Love」
- 90sメガヒット:小室系、バンド系(例:B’z、Mr.Children)
- 00sポップ&ダンス:宇多田ヒカル、Perfume
- 10s以降:Kenshi Yonezu「Lemon」、Official髭男dism、King Gnu、YOASOBI など
6. 「自分でJ-POPを作る」ための作曲テンプレ
構成:Intro–A–B–サビ–間奏–A’–B–サビ(転調)–Outro
コード:I–V–vi–IV をベースに、BメロでIV→V→iii→viやii–Vで持ち上げ
メロ:Aは語り、Bで跳躍、サビで最高音+“母音が明るい”語を配置
歌詞:情景1行→心情1行の反復+季節語。サビはフック1フレーズを繰り返す
編曲:
- A:E.Piano+薄Pad+簡単なKick
- B:Arp/ギター刻みを足す
- サビ:シンセ/ブラス/ギター層+コーラス、キックを4つ打ち or 16分ゴーストで推進
ミックス:歌最優先(2–5kHzをクリアに)。サビはステレオ広げる&ローエンドをタイトに。
7. 楽曲分析の観点(耳コピのコツ)
- コード耳:ベースを追って根音→種類(メジャー/マイナー/サブドミ)。
- ドラム耳:ハイハットの刻みパターン(8/16/三連)。
- 装飾耳:プリドロップの上行フィル、サビ頭のライザー/クラッシュ、リフの反復単位。
- 言葉:サビの母音と語頭子音をメロの山に揃える。
8. 産業の文脈(知っておくと楽しい)
- タイアップ:ドラマ主題歌/アニメOP・ED/CMが初動を作る。
- チャート:フィジカル(CD)と配信/動画の二重構造。
- ライブ文化:アリーナ/ドームの“実演力”が評価軸。ファン参加型(コール、ペンライト、SNS拡散)も特徴。
9. J-POPを深掘りするためのプレイリスト設計
- 年代順(80s→90s→00s→10s→20s)で俯瞰
- サブジャンル別(シティポップ/アニソン/アイドル/バンド)で枝分かれ
- 作家別(作曲家・プロデューサー軸)で“音の血統”を追う
- キーワード別(夏/雨/夜/卒業/花火/東京)で歌詞世界を味わう
10. まずはこの“練習課題”(創作向け)
- 課題1:I–V–vi–IVに季節語を1つ入れてA–B–サビを書いてみる
- 課題2:ラスサビで**+1半音**転調(メロはそのまま1セミトーン上げる)
- 課題3:Bメロだけハーフタイムにしてサビで通常タイムへ戻す
- 課題4:サビの母音“あ/お”多めのフックを8小節で完了
まとめ
J-POPは歌が中心。コードや編曲の“型”を押さえ、言葉の温度で物語を運ぶと、一気に“それっぽさ”が出る。名曲の文脈を踏まえつつ、自分の時代感(音色/リズム/言葉)でアップデートしていこう。

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